@article{oai:obihiro.repo.nii.ac.jp:00001757, author = {岡崎, まゆみ}, journal = {帯広畜産大学学術研究報告, Research bulletin of Obihiro University}, month = {Nov}, note = {application/pdf, 植民地期朝鮮における親族・相続に関する事項は、1912年の朝鮮民事令第11条が「朝鮮人ノ親族及相続ニ関シテハ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外第一条ノ法律ニ依ラス慣習ニ依ル」と規定したことから、その法源を「慣習」に求めることとなった。ここにいう「慣習」の認定に大きく関与した朝鮮高等法院の判断に対する歴史的・法学的評価は、これまでさまざまな分野で蓄積されてきた。しかしいずれも、究極的には直接的・間接的に朝鮮総督府の《同化政策》に資するような判決内容であったと結論づけられており、さらにこのような見解の傾向は、祭祀をめぐる「慣習」評価では、より一層顕著に見られる。詳細は本論に譲るが、朝鮮では伝統的に「祭祀」に関する権限が相続の中核的内容と観念され、実際に植民地初期には、朝鮮高等法院でも祭祀の承継が法的な権利承継として認められていた。ところが内地が本格的に戦時体制に入り、外地である朝鮮にも戦時色が濃厚になり始めたのと時を同じくして、朝鮮の祭祀承継は「道義上ノ地位」の承継と看做されるに至った。従来、この祭祀承継の法的性格を否定するに至る朝鮮高等法院判決の変遷は、朝鮮の伝統社会が維持してきた宗族制を日本的な「家」秩序と襲合させたもっとも代表的な《同化政策》のひとつとして位置づけられてきたのである。  朝鮮高等法院(以下、高等法院)が植民地――外地――という特殊な政治的状況のなかの最上級裁判所であった、という性格を考えるとき、その判決を内地や朝鮮総督府の統治政策の動向と関連づけて検討することは、判決内容の理解に不可欠であることはいうまでもない。とはいえ、高等法院は内地や朝鮮総督府の意向に無条件に従い、司法としての機能をまったく果たさなかったわけではない。筆者はこれまで、高等法院が家族関係裁判で認定した「慣習」をめぐる法解釈の在り方に注目し、高等法院が無批判に内地や朝鮮総督府の政策に従属するのではなく、朝鮮在来の慣習とは何か、またその慣習と「近代法」的発想の妥協点を模索しながら「慣習」を認定しようとする志向が看取されることを部分的ながら明らかにしてきた。無論、このことが当局の統治政策からの完全な「司法の独立」を意味するわけではないが、高等法院による司法本来の法解釈という機能に注目することは、外地統治の実態の理解にとって決して無意味ではないはずである。  そこで本論文では、これまで《同化政策》の最たるものとして位置づけられてきた祭祀をめぐる――とくに高等法院判決における――「慣習」の認定に関して、祭祀承継の意義を「近代法」的法解釈の視点から検討してみたい。この祭祀承継の法的意義づけの試みは、ひいては朝鮮民事令自体がその成立当初より内包したディレンマをも明らかにしてくれるだろう。}, pages = {63--74}, title = {植民地期朝鮮における祭祀承継の法的意義 : 『朝鮮高等法院民事判決録』の分析を中心に}, volume = {35}, year = {2014} }