@phdthesis{oai:obihiro.repo.nii.ac.jp:00001404, author = {Talukder, Anup Kumar}, month = {2018-01-30, 2018-01-30, 2018-01-30}, note = {2017, application/pdf, 雌性生殖器内側の粘膜免疫系は、異質遺伝子型である精子や半異質遺伝子型である受精卵を受け入れる一方で、病原体に対しては防御するという、両方の役割を持つ。卵管での受精後、ウシ初期胚は発育しながら卵管内に4日間程度留まり、5日目に16細胞期胚あるいは桑実胚として子宮内に入る。初期胚は7日目に胚盤胞となり9日目以降に透明帯から脱出する。これらの初期胚は父側の抗原を持つことが知られているが、卵管と子宮内では母体側の免疫システムの攻撃は受けずに寛容され、受胎に至る。ウシにおいて上述の受精後の7日間の初期胚と卵管・子宮との免疫調節に関わるクロストークについてはほとんど解っていない。本研究では、ウシ初期胚と卵管あるいは子宮上皮細胞の共培養系を用いて、発育する初期胚がそれぞれの上皮細胞の免疫応答に関わる遺伝子発現に及ぼす影響を調べることを目的とした。さらに、共培養した培養上清で単離した血中単核球(PBMC)を培養して、その遺伝子発現への影響も調べた。 第1章では、ウシ卵管上皮細胞(BOEC)の初代培養系で、体外受精直後のウシ受精卵を4日間共培養して16 細胞期-桑実胚に発生させ、BOEC 遺伝子発現をreal-time PCRで調べた。その結果、4日目までの初期胚の存在はPGE2 合成酵素(PTGES)遺伝子発現を刺激し、一方で、炎症反応の調節因子であるNFkB2 遺伝子を抑制した。インターフェロンτ(IFNT)は胚盤胞以降の栄養膜細胞から分泌され、子宮内の母体側の妊娠認識に関わるが、IFNT で刺激される遺伝子群発現に変化はなかった。ところが、初期胚とBOEC を共培養した培養上清でPBMC を培養したところ、IFNT で刺激される遺伝子(ISG15, OAS1, MX2)およびIFNT シグナル遺伝子(STAT1)、さらには、寛容に働くTh2 サイトカイン(TGFB1)遺伝子が刺激され、炎症性サイトカインであるIL17遺伝子を抑制していた。以上の結果から、16-32 細胞期の初期胚は既に微量のIFNT を卵管内で分泌し始めており、PBMC はそれを察知して寛容に誘導される可能性が示唆された。 第2章では、体外受精で得たウシ受精卵を桑実胚まで体外発生させ、それらを子宮上皮細胞(BUEC)の単層培養系で4日間共培養し、胚盤胞まで発生させた。その後、BUEC 遺伝子発現をreal-time PCR で調べた。その結果、5日-9日目までの初期胚の存在はPTGES とIFNT で刺激される遺伝子(ISG15, OAS1, MX2)およびIFNT シグナル遺伝子(STAT1)、IFNT 受容体遺伝子(IFNAR1, IFNAR2)遺伝子が刺激されていた。一方で、炎症反応の調節因子であるNFkB2、炎症性サイトカインであるTNFA とIL1B 遺伝子を抑制していた。さらに、5日-9日目の初期胚の共培養上清は、PBMC の遺伝子発現を、IFNT で刺激される遺伝子群、寛容に作用するTGFB1 遺伝子を強く刺激し、一方で、炎症性のTNFA とIL17 遺伝子を抑制していた。重要なことに、低濃度のウシ組み換えIFNT(100 pg/ml)は、BUEC とPBMC の双方において、上述のような初期胚と同様の遺伝子変化を誘導した。以上の結果から、初期胚が卵管から子宮に移動した最初の4日間の時期でも、子宮は既に初期胚を認識し免疫細胞ともに寛容型に変化すること、初期胚からのIFNT はそのクロストークの重要な因子の1つであることが示唆された。 以上の一連の知見から、ウシ卵管と子宮の上皮細胞は、受精後の初期胚を認識するシステムを備えており、基本的には初期胚を寛容する局所免疫環境を整えることが伺われた。さらに、初期胚から分泌される微量のIFNT が、その重要なコミュニケーション因子の1つであることが初めて示された。したがって、本研究の知見は、ウシの超初期妊娠に関わる卵管・子宮が備える初期胚の認識システムの一部を明らかにし、高泌乳牛の健康と繁殖の基礎概念の構築に大きく貢献するものと考えられた。, 博士学位論文, 大学院畜産学研究科畜産衛生学専攻, Doctor’s Course of Animal and Food Hygiene}, school = {帯広畜産大学}, title = {The local immune response to early embryo in bovine oviduct and uterus in vitro}, year = {} }