本学研究者のみなさまへ
目次
OAKに登録するメリット
登録するには
対象資料
著作権について
オープンアクセスとOAK
OAKは,学術雑誌掲載論文をはじめとして,研究報告書,会議発表資料,学位論文,教材など,本学の研究者のみなさまによる研究・教育成果を収集・蓄積・保存し,インターネットを通じて広く公表することを目的としたオープンアクセス・リポジトリです。
OAKに登録するメリット
- 研究・教育成果のインパクトを最大限に。Google, Google Scholar, CiNiiなど,複数のサーチエンジンや文献データベースがOAKのコンテンツ情報を収録しており,OAKに成果物を登録することで,可視性が最大限に高められます。
- 学術雑誌論文のオープンアクセス化。主要な海外出版社の多くが,著者の最終原稿(accepted manuscript)を一定の条件のもとにリポジトリ登録・公表することを認めています。これにより,高額な雑誌購読料(pay wall)に阻まれた読者にも文献を読んでもらえる機会が得られます。
- JST(科学技術振興機構)や科研費助成事業などの研究助成事業が推奨するオープンアクセス化に対応することができます。
- 附属図書館では,寄託された文献の著作権を侵害する恐れがないよう確認し,登録しています。
- 情報発信の強化により,引用,共同研究や産学官連携などのコラボレーションの機会が期待されます。
- 研究・教育のショーケースとして,成果物を一元的かつ永続的な保存・管理できます。インターネットがある限り,OAKに寄託された資料は提供され続けます。
- 職員が代理で登録作業をします。原稿ファイルをメールで送るだけで,職員が著作権について確認したうえで,最適な形でアーカイブします。面倒な入力作業は必要ありません。
- 著作権を大学に移譲する必要はありません。大学では,著作権者から著作権を譲渡されるのではなく,インターネット上で公表するための許諾を依頼しています。
登録するには
repo@obihiro.ac.jp (学術情報室OAK担当)宛てに電子ファイルをお送りください。
OAKへの登録では,煩わしい入力作業は必要ありません。登録とデータの入力作業は職員が行うので,ファイルをメールで送るだけで,次のような多くのメリットを得ることができます。
対象資料
| 摘要 |
学術雑誌論文 | 学術雑誌,研究会誌,他大学の大学紀要等に掲載された論文。 |
会議発表論文 | 会議録や予稿集に掲載された論文。 |
図書 | 図書全体または,掲載された論文や一部の章など。 |
報告書 | 科研費やCOEなどの研究助成にかかる成果報告書。 |
一般雑誌記事 | 広報誌,一般の読者向けの雑誌,新聞等に掲載された記事,エッセイ等。 |
教材 | 講義や市民講座等で使用された教材。 |
その他 | 上記以外の研究・教育成果物。 |
本学紀要「帯広畜産大学学術研究報告」および原虫病研究センターの学術雑誌「Journal of protozoology research」に掲載された論文は,原則としてOAKに登録しています。
著作権について
OAKでは,著作権を取得することなく,著作権の権利者からインターネット公表することに対する許諾を得て,寄託されたコンテンツを公表しています。
著作権は,基本的に著者が有していますが,学術雑誌論文の著作権は多くの場合出版社に移譲されており確認が必要です。
学術雑誌に掲載された論文の著作権
学術雑誌では,論文が受理された時点で著者から出版社に著作権を移譲する著作権譲渡契約(Copyright Transfer Agreement)を結ぶことが一般に行われています。従って,出版された論文をOAKに登録しインターネットで公表するにあたっては,著作権譲渡契約で認められた範囲で行うことになりますが,多くの出版社がリポジトリで公表することを著者の権利として著作権譲渡契約において認めています。
出版社が認める著者の権利は,大まかに次の3種類があります。
- 受理された段階の著者最終原稿(accepted manuscript)を公表してよい ……大多数の商業学術出版社がこの方針を採用しています。
- 出版したPDFファイルを転載してよい ……一部の出版社に限られます。
- ファイルの公表を認めない ……残念ながら,一部の出版社で見られます。
出版社によっては,上記の著者の権利に,次のような条件が付帯します。
- 出典の明記
- 出版された論文のウェブページにリンクすること
- 出版後,一定の猶予期間をおいて公表すること(STM分野では12か月が一般的で,6か月~24か月程度の幅があります)
- リポジトリで公表されたファイルには,クリエイティブ・コモンズ表示–非営利-改変禁止ライセンスを付与すること
OAKでは,ご提供いただいた論文について,著者の権利と付帯条件を調査したうえで公表しています。
なお,出版社が著者に留保する権利やインターネット公表の条件を調べるには,著作権譲渡契約書にあたる方法以外にも,次のウェブサイトで簡単に調べることができます。
ただし,学協会によっては,リポジトリでの公表について方針が定まっていないことも多くあります。必要に応じて職員が出版者等に確認をしていますが,公表を禁じられることもあります。
Creative Commons Licenseが適用された論文の著作権
オープンアクセス誌を中心として,学術雑誌論文にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが適用されることがあります。その場合,適用されたライセンスに従い論文をリポジトリに登録公表することが可能です。
図書の著作権
図書の場合,著作権を著者に残したまま,出版社に出版権を設定するという出版契約が結ばれることが一般的です。雑誌論文とは違って,出版社の態度はまちまちであり,都度確認する必要があります。(職員が連絡,確認を行っています)
その他の資料の著作権
その他の資料については,出版されていなければ,著者(共著の場合は共著者全員)が著作権を持っています。著作権者がインターネット公表を認めることにより,OAKにて登録・公表を行っています。
OAKチームによる文献調査と提供依頼
OAKでは,Scopus等の文献データベースをもとに本学の研究成果の文献を捕捉し,研究者のみなさまに文献提供を依頼しています。
対象は,連絡著者(corresponding author),筆頭著者,最終著者のいずれかが本学に所属されていて,かつ,出版社がリポジトリ公表を認めているか,クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにより公表可能である学術雑誌論文です。
OAKで公表可能な論文が見つかると,連絡著者,筆頭著者,最終著者の優先順位で一人の方に,メールで文献提供を依頼いたします。その際,著作権の状態に合わせて,最終原稿を提供いただく必要があるのか,出版社のPDFを公表可能であるかなどをお知らせいたします。
オープンアクセス(OA)とOAK
研究文献へのオープンアクセスとは,それらの文献がインターネット上において無料で閲覧,利用可能になっている状態を指します。
オープンアクセスが必要とされる背景には,商業出版社による学術雑誌の寡占とそれに続く雑誌価格の高騰があります。このことは,学術情報へのアクセスが金銭的に阻まれるという「読者」だけの問題ではなく,掲載された論文の可視性が下がり,研究のインパクトが弱められるという「著者」にとっての問題でもあります。著者が,自身の論文を必要とするすべての人に何の障壁もなく発信するための解決方法として,オープンアクセスが提唱されているのです。
オープンアクセスには,グリーンとゴールド,二つの方法があります。OAKが取り組んでいるのは,著者が自身の論文を機関のリポジトリに寄託して公表するというグリーン・オープンアクセスです。著者の費用負担が必要ないというメリットがありますが,出版社との著作権譲渡契約により公表が出来なかったり,一定期間は公表が猶予されたりするなどの制約があります。
ゴールド・オープンアクセスは,出版社が雑誌そのものをオープンアクセスにしようという取り組みで,新たにオープンアクセス誌を創刊したり,既存の雑誌をオープンアクセス誌に転換したりといったバリエーションがあります。出版時点でオープンアクセスになっているというメリットがある一方,著者が論文加工料(APC)を支払う必要があり,また,論文加工料を目当てに低質な雑誌を乱発する出版社が存在するという問題も見られます。
それぞれに課題があるものの,著者にとっても読者にとっても,オープンアクセスの必要性は弱まるものではありません。OAKでは,本学の研究・教育成果をアーカイブし,オープンアクセスにすることを続けていきます。